建築廃材等を使用したハウスボイラーの開発

プロジェクトの概要

広島県庄原市は県下一の農業出荷額を誇る。市内には田畑や農業ハウス等が多くみられ、農業が市の基幹産業であるといえる。そのうち農業ハウスは冬季における温度管理のため、化石燃料を用いている。しかし、原油価格の変動が経営上大きなリスクとなり、経費削減・安定化のために化石燃料に代わるエネルギーの利活用が求められている。他方、庄原市のような中山間地域においては建築資材の製造段階に発生する木質系製材端材及び木屑は全木材重量の約15%~20%と大量に出ており、これらを利用することが課題としてしばしばあげられながら、運賃コストと廃棄コスト等の問題から燃料として有効活用されているのはごく少量に過ぎない。加えて、木質ボイラーは小型の家庭用が主流であり、人的かつ断続的に供給する方式となっているので、事業用への転用が難しいのが現状である。
 そこで、産業廃棄物を処理して出来たチップと木材の廃棄物を燃料として利用した熱交換により農業ハウスの暖房を行う、自動運転が可能な事業用ハウスボイラーの開発を行うこととした。
 長岡鉄工建設・平田観光農園から相談を受け、県立広島大学生命環境学部の原田教授と当機構を合わせた4者での共同研究体制を構築し、開発を進めることとなった。共同開発はNPO法人広島循環型社会推進機構の支援事業に採択されスタートし、長岡鉄工建設が設計と製造を、原田教授が性能に関するデータの解析を、平田観光農園が実証実験用ハウスの提供と運用を、当機構がプロジェクト全体のコーディネートを、それぞれ受け持った。
 平成27年2月には試作器が完成し、同年3月からは平田観光農園での実証実験もスタートしている。

関係者の声

化石燃料の埋蔵量には限界が有り便利で大切な物なので、少しでも沢山未来へ残してやる努力が私達に求められていると思います。

 特に庄原はバイオ資源に恵まれており、それを利用して安いエネルギーを有効活用する事が大切だと思い、今回ボイラーの開発をスタートしました。

 庄原には県立広島大学が有りしょうばら産学官連携推進機構を通じて大学の先生とお互いの技術を補完しながら研究出来る事に感謝しております。